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4月29日(1) ジェノバ〜ニース Genova-Nice [Mainland Italy]

ホテルで前日、チェックインしたときの人がいない時間に、イタリア語しか出来ないおじいさんとやりとりをして借りることが出来たインターネット。コルシカへの船が出る埠頭の正確な位置を確認しようとしたら、なんとジェノバからは季節運航で、この時期は出ていないことが判明する。日本でも同じページを見て、ここまで来たというのにどういうことか。何故そんなミスを犯したのかわからないが、幸い今日午後ニースから出る船があるのを発見する。朝9時にジェノバを発って鉄道でニースまで行き、そこから船に乗るプランに変更した。

チェックアウトの時はまた英語の出来る人だった。ここのスタッフは親切。言うまでもなく、ロケーションも便利だ。駅まで行って、ニース行きのチケットを買う。特急券を含めて、わずか15ユーロ。最初、話が通じてなかったのかと思うほどの安さ。春のリビエラ、3時間ほどの汽車の旅。

観光気分と裏腹に、暫くは工業地帯やら何やらが続く。ジェノバはやっぱり観光地というよりも、商工業都市という印象の強いところだった。滞在中は地中海らしからぬ曇りがちであったが、これは地形的な要因もあるのではないかと思った。曇っていては観光地に向かない。暫し、急峻な山と海に挟まれた猫の額ほどの土地に、人の生活にかかわるあらゆるものを詰め込んだ光景が続く。日本に通じる景観だ。

だんだんと工業的なものがなくなってきたあたりで、線路が複線から単線になった。Findeという駅を過ぎると、海に面して走るようになり、急速にリゾート地の気配が濃厚になって来た。それまで目についていた、いかにもイタリア的な、アパートの合間にはためく洗濯物の姿が目立たなくなってくる。そもそも建物自体がきれいだ。ビーチは灰色の砂、もしくは粗い礫のように見える。Albengaというあたりで、ぽっかりと平野に入る。この行程で初めて大きな畑を端かに見る。花卉類の栽培もしていて、見てもきれい。

しばらくすると再び山がちになる。線形が異様に悪く、台車がきしむ音をたてながら、トンネルと集落を交互に走り抜けていく。Alassioというところまで来ると、いよいよリゾートとらしくなってきた。荒々しい山肌、灌木、さざ波の地中海。ハワイやフロリダ・カリフォルニアの古いスタイルのコンドミニアムのようなものも、海沿いに並んでいる。

Imperiaというところは、かなり規模の大きい街のようだった。ローマ風の石積みの館が見える。続いて、San Remoという、イタリアン・リビエラでは耳にしたことのある街に到着。しかし地下駅。なんだか損をした感じだ。そしていよいよ、イタリア・フランス国境のVentimigliaに到着。車内では乗務員が交代し、急にフランス語のアナウンスが始まる。
 

 
その後も同じような山間のリゾートが続く。いよいよ間もなくモナコだ。トンネルに入る。列車がスピードを落とし始める。車窓から、カジノや、モナコグランプリのコースは見えるだろうかと、期待が膨らむ。止まった。なんとモナコも地下駅だった。駅だけでなく、モナコ領内はすべて地下。まったくその姿を見ることは出来なかった。しかしこのモナコ駅は、ホームだけでも驚くほど洗練されたものだった。庶民的なイタリアからわずか数キロだと言うのに、ここだけ何十年も進んでいるような印象を受けた。
 


 

列車の終点ニースに到着。結構大都市のはずなのに、雑然とした雰囲気は皆無。表通りだけかも知れないが、排気ガスに煤け、壁のはがれそうな手入れの悪い建物がまるで目につかない。めちゃくちゃ爽やかでこじゃれている。これがコート・ダジュールというものか。恵まれた気候の地に、パリを持って来たかのような洗練。ここがフランス領になったのは1860年。その少し前にカリフォルニアがメキシコから割譲され、今ではメキシコとの間に高い国境が成立したのと同様に、わずか150年の間にニッツァ(ニースのイタリア読み)はずいぶんとイタリアから引き離されたように思える。
 



 

照りつける地中海の太陽を浴びながら、歩いてフェリー乗り場に向かう。5キロほどあっただろうか。ジェノバのダウンヒルで痛くなった脚が、また痛みだす。何故この緯度でこの日差しなのか、本当にわからないほどの太陽の輝き。大きな砂利の浜辺では、結構ご年配の方までビキニで焼きまくっている姿が遠目に見える。今回ニースには泊まらなかったが、非常に美しいところだと思う反面、ここに泊まるのはもっと歳をとってからでも良いのではないかとも思った。およそ人生のことがわかった後で、およそお互いのことがわかりあった関係の人と滞在する。そんな旅が似合う場所ではないかと。
 


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