SSブログ

5月2日(1) アジャクシオ〜ボニファシオ Ajaccio-Bonifacio [Corsica]

コルシカは公共交通がたいへん不便だ。自由旅行者が思いのままに全島を巡ることは大変難しい。ヨーロッパの観光客は、自家用車・レンタカーを利用するか、もしくはパッケージツアーに参加しているようである。今日はこれから島の西海岸を南下しようとするのだが、朝8時半発の次の便が、夕方16時である。目的地のボニファシオまでは4時間かかる。朝の便に乗らない訳にはいかない。
 


 

EuroCorse Voyagesという会社のバスは、ベンツのエンブレムを鼻先にぶら下げてはいるものの、マイクロバスのような代物であった。雰囲気としては公共交通というより有償輸送に近い。これで2往復ということは、1日に30人も乗らないということか。アジャクシオの町を出て暫くすると、4時間かかる訳がわかってきた。道は海沿いを走るかのように見えて、全く山の中へと分け入って行く。カーブがきつい。マイクロバスの席は狭く、日差しは暑く、特に途中のプロプリアノまでの2時間弱は満席。のろまなベンツ君がゼイゼイ喘ぎながら山道を進む中、客はゲロゲロ、ぐったりであった。
 

バス停前の通り。プロプリアノ。
 

プロプリアノと、そのかなり先で東海岸に迂回して経由したポルト・ヴェッキオは、ともに海に面し夏期にはフランス本土とも船で結ばれるがゆえ、か細い古い街全体が観光地に飲み込まれたかのようであった。一方、プロプリアノからさほど離れていない内陸にある少し大きな町サルテーヌは、だいぶ趣が違った。バスティアからアジャクシオまでの山越えの時に通ってきたコルシカ人の村を大きくしたような感じで、やはり山肌に無理にへばりついている。コルシカ人の砦という、観光化された町にはないある種の誇りのような空気が一目で感じ取れる。そんな町だと最初から知っていたら、間違いなくプランに入れておいたところだったのだが、イタリア語のガイドブックしか持っていなかった僕はそこまで事前に把握しておらず、またホテル事情を調べていなかったのでとっさに降りることが出来ず、車窓から眺めるにとどめておいた。


車窓より、サルテーヌの遠景。
 

その後もひたすら南へ、南へ。集落がだんだん少なくなり、本当にこの先に町があり、さらにその先にはサルデーニャ島があることが想像できないくらい、南の果てへと進んでいるようであった。ハワイ島を南下し、最南端のサウスポイントへと下っていくと、その先は遥か3,000キロ先のタヒチまで何もないのだが、そんなことを思い出しながら疎らな風景を眺めていた。Ortoloという川の流域は、比較的広い谷間が広がっているのに、人家がまるでみられない。また山が現れた。もう山はいや、というのが正直なところなのだが、このあたりの山は岩山で、コルシカ中央部の山々とは明らかに違う種類のものだった。サルデーニャと近いことのしるしだろうか。
 



バスに乗り始ってから3時間が近づき、最南(「極南(Extreme Sud)」と言う)のなだらかな台地に出た。Monacciaという村をはじめ、いくつか地元の村に立ち寄りながら、一旦東海岸に出てポルト・ヴェッキオに回り道して、終点のボニファシオへと向かう。島を周回する国道198号線からボニファシオ市街へ分岐する道に入ると、白い断崖のような岩が道の脇に断崖を作っていた。ほどなくしてボニファシオに到着。市街地は半島状の断崖の上にあり、バスはそのたもとにある湾の最深部の岸壁に止まった。
 



 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(2) 
共通テーマ:旅行・地域(旧テーマ)

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。