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5月2日(2) ボニファシオ〜サンタテレザ Bonifacio-Santa Teresa di Gallura [Corsica]

人家も疎らな南の果て、要塞都市ボニファシオは驚くべき数の観光客に占拠されていた。どこからこれだけ集まったのか。日本で言うところの「農協観光」のような、フランスの田舎から来たとおぼしき団体客が大勢いる。断崖の下の部分は観光客向けの店が湾に沿って列を成しているだけで、何の風情もない。そこから断崖上の町、ボニファシオの旧市街へと登る。本当に大変な高さで、結構しんどい。友人のH田君なら、間違いなく何かの口実を見つけて、登ることを拒むに違いない。
 



城門へ至る道より、頭上に城門と町を見る。


城門を外側より。


城門を内側より。門を開閉する機構がわかる。
 




断崖上に広がる街。
    

上に登ると、ここが断崖上であることを忘れてしまうくらい、密な中世の街がけっこうな規模で広がっている。町の端はどこも見晴らしがいい。北側は港になっているさっきの湾ごしに、マキの緑とコルシカの山々が遥かに広がっているのが見える。南側は、きらめく青い海と白い断崖の続く海岸線が見える。海の先には、サルデーニャの姿を拝むことができる。コルシカと比べて山が低いのか、べったりとした島影である。
 





町の北側。湾、マキの原野を眺める。
  




町の南側。ボニファシオ海峡とサルデーニャ、島の南端に続く白い断崖。
  

いったん城門から街を出て、東側に少し離れた高台に登り、そこから町の遠景を見る。ガイドブックなどの写真で既に見ていたとはいえ、実物を見ると息を飲む光景である。切り立った崖の上に町、どころではない。浸食で崖がえぐれ海側にそり曲がって立っており、そのえぐれの上に町がある。さっき僕が青い海とサルデーニャの写真を撮っていた町の広場は、明らかに海の上だ。自然の造形と人間の造形の融合が、このような形で実現しうるのかと。いろいろなところを旅するにつれ、自然に対する畏怖が強まる一方で、人が作ったものにいくらか冷淡になっている僕でも、この先人の業績には感嘆せざるを得ない。日当りのいい、気持ちのよい風の吹くその高台で、しばしその風景を眺めながら佇んでいた。
 





 

夕方のフェリーに乗り、コルシカへの別れを告げる。海から見るボニファシオの町は、やはり奇跡のような光景であった。白い断崖、砂色の建物、周囲のマキの緑、遠くに控えるコルシカの山々。これほどまでに幻想的な風景を、ただただ、遠ざかっていくボニファシオの町とコルシカを眺めているしかなかった。
 







 

しかし、船尾にまだ町もくっきり見えるというそのとき、ふと船の舳先の方を見てみると、どっかりとサルデーニャが迫っているではないか。既にコルシカよりもサルデーニャの方が大きくなっている。海峡はわずか11キロ、中間点ではそれぞれに5キロほどの距離でしかないのである。結局コルシカは、そのまま思い出の中へと消え行くこともなく、サルデーニャの港町・サンタテレザ(ディガッルーラ)に着いても、どっしりとその風景の中に居座っていた。
 




サルデーニャ島、サンタテレザディガッルーラを海上から。 
 


サンタテレザディガッルーラよりコルシカを望む。
 


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コメント 2

ichiro

行きたいです。。。でもあつそお。。
by ichiro (2005-08-13 19:59) 

kenta*

読んでいただいてありがとうございます。
湿度が低く乾燥していたので、日差しが大変厳しいものの
日本のような暑さはなかったですよ。
by kenta* (2005-08-17 01:43) 

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