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5月3日(1) サンタテレザ〜ルバーニュ Santa Teresa di Gallura-Lu Bagnu [Sardegna]


 

サンタテレザは正しくは「ガッルーラ地方の」という意味をもって、サンタテレザディガッルーラ と呼ばれる。これまでに回ってきたどの町ともまるで違う雰囲気の町であった。この町のルーツは200年ほど前に遡るそうなのだが、今のように開けはじめたのはサルデーニャで観光産業が勃興した、ここ40年も経っていないほどとのことである。整然とした区画の町並みに、歴史を感じさせないコンクリート作りの低い建物が並ぶその風景は、どこか南米の町を思わせるところもある。観光案内所を擁する中心の広場は、パリという概念を意図的に地方に伝播するかのような重厚なフランス風の市街地整備とは異なり、まるで日本の再開発エリアのような真新しい舗装がなされ、風情は感じられない。何より雰囲気が違うのが人々である。陽気さというかのどかさが、まるでコルシカ人とは違う。近くて遠い11キロである。

この町はなんといっても、ヨーロッパ随一の高級マリンリゾートであるコスタ・ズメラルダ(エメラルド海岸)の西の入口に位置するだけのことはあり、その周囲に、独特の碧い色をたたえた美しいビーチを持っていた。そして砂浜以上に印象的だったのは、それを取り囲む荒々しい崖である。大きな白い岩が重なって連なるところに、岩場と乾燥に強そうな植物が、まさにいま花の季節を迎え、色とりどりに咲き誇っていた。
 



早朝のビーチ。遠くに灰色のコルシカが見える。
 


背の低い植物が、岩場にしっかりと根を張る。
 




静かな水。コルシカからの朝一のフェリーを望む。
 

サンタテレザからコスタ・ズメラルダとは反対方向、北海岸を西へ、サルデーニャ島北部の中心サッサリ行きの路線バスに乗り込む。サルデーニャはコルシカと異なり、公共交通のネットワークが日本の地方並みには整備されている。ここガッルーラ地方は、少し内陸に入っても、海岸にあったのと同じ白く大きな岩がごろごろとあちこちに転がっているのが、車窓から見える。遠くには、その岩を積み上げたような岩山が連なる。コルシカと比べて非常に平坦ではあるが、しかし岩と灌木の平原は不規則にうねりまくっている。コルシカが山の島なら、サルデーニャは丘の島か。いくつか地元の町を迂回しながらバスは走って行くが、ガッルーラ地方はここ数十年の入植地のような、比較的新しい建物で構成された町が多いようである。
 





サルデーニャ最北部、ガッルーラ地方の車窓。
 



カステルサルドを車窓より。
 

ガッルーラを抜けて、バスはカステルサルドという古い町に向かう。岬の先端の小山みたいなところに、色とりどりの積み木をひっくり返したような建物がうずもれている。ここが今日の目的地だ。しかし、昨日物価の高いボニファシオに泊まらなかったのと同様、ここも宿代をケチりたいがために、ガイドブックが薦めている5キロ先の町にあるユースホステルへと、そのままバスに乗って直行した。Lu Bagnuというその町らしきところでバスを降りる。まっすぐ伸びる道路の脇に、まばらに家が建つ。南米の開拓地のような雰囲気のところだ。このエリアの山はガッルーラのそれと違って赤い岩山が多いが、そのためか道路も心なしか赤っぽくに見える。それが赤土の開拓地を思い起こさせるのであろうか。日本で言えば沖縄石垣島の於茂登岳の北側、戦後入植が進んだエリアに感じるものが最も近い。


しかしこの昼下がり人気がなく、どこにホステルがあるのか誰にも聞きようがない。とりあえずバスを降りた方向からカステルサルドの方向に戻って歩いてみる。それらしきものはない。街外れのバールでホステルのある通りの所在を聞いてみる。するとここからウン (1) キロだという。反対方向に歩いてきていた。さっき歩いてきた街道を、再びとぼとぼと歩く。サックの重みがだんだんと堪えてくる。今日はいくらか曇天であったことには救われた。バスを降りた地点を通過し、そのままずっと行くが、それらしき通りは見当たらない。ついに町の反対の端まで来た。通りはあった。そこにはホステルはない。ホステルのアドレスを求めて、その通りを歩く。めちゃくちゃ急な坂になっていく。若者には良いが、これではまるで三十路の来場を拒んでいるかのようである。その非・若者を待ち受けていたのは、評判の良いユースホステルらしく英語の達者な、若い管理人からの、夏のトップシーズンに向けて改装休業中だという、無情な知らせであった。

再び荷物を背負って坂を降りる。いったい何を好んでこんな訓練をしているのか。これから自衛隊に入りたいという訳ではない。普通の三十路ならこんなこと出来ない、これは日々暴飲暴食をつつしみ、健康に留意して生活をしている賜物に違いないと、自分を慰めながら歩いていたら、バス停を通り過ぎるという香ばしいチョンボ((c)鳥頭)までやらかした。

もうカステルサルドに行く気力はすっかり失せてしまった。先を急ごうと、さっき降りたバスと同じ方向、サッサリ行きを待つ。カステルサルドとサッサリの間は、区間便が大変多く1日に16本くらいあるとガイドブックに書いてあったことを信じ、バスを待つが、まったくこない。腹立たしいことにカステルサルド行きはサッサリ以外から来たものを含め、5本も目の前を通過して行った。何ともイタリアの田舎らしい光景、オート三輪に乗ったおじいちゃんも、僕の目の前をトロトロと通過して行った。


 


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