SSブログ

5月6日 カリアリ〜プーラ Cagliari-Pula [Sardegna]


 
今日はサルデーニャに地中海地方の青い空が戻ってきた。何とうらぶれたホテルだと思っていたが、光を浴びると俄然輝いて見え始めた。海の色は、昨日までとはまるで別の海のもののように見える。美しい。

ホテル・カラモスカでの最後の食事となる朝食のときに、ひとりの男に話しかけられた。中国や東南アジアの工場から、マッサージ器などの健康器具をイタリアのみならずフランスなどヨーロッパ諸国に輸入販売するビジネスを手がけていて、今週はコンベンションでカリアリに来ているのだと言う。僕も同じコンベンションで来ているビジネスマンかと思い、話しかけてきたそうだ。カプチーノを片手に、海を見下ろすそのレストランでしばし談笑する。見たところ切れ者のように見えない彼の話はやはりそんなに面白い訳でもなく、英語も途中不明瞭なところがあったが、ここ暫く観光案内所で僅かな時間英語を使う以外、片言のイタリア語もどきだけでしかコミュニケーションできなかった鬱憤が溜まっていたのか、ちょっとすっきりした。
 

 
 

朝食後ビーチを散策したりしながら、かなりゆっくりしたのち、名残を惜しみつつホテルをチェックアウト。今日はバルーミニの代わりとして、遺跡Nora(ノーラ)のある街・プーラを目指す。プーラはカリアリからバスで更に南に向かったところにある。Noraはサルデーニャに遺されたフェニキア・ローマ時代の遺跡として、先日訪れたオリスターノ近郊のTharrosと並び称されるものである。カリアリのバスターミナルに行くと、プーラを経由するバスは多く出ているはずなのだが、それもプーラ行きではない。7つくらいあるバスの停留所には何の表示もなく、開いているところにバスが来てはすぐに発車してしまうため、どのバスに乗るか以前にどこから乗ればいいかさえわからない。そうしてモタモタしている間に、プーラに着いたのは昼過ぎになっていた。

昨日、カリアリのツーリストインフォメーションから出てきたとき、グループで取り囲まれるとまずアウトではないかというような風情と年頃の男子が突然近寄ってきて、何の言いがかりをつけられたかと思ったら「プーラに行きなよ。きれいだから。」とだけ言って去っていったのだが、実際雰囲気の良い街であった。あたかも一年中祝祭を行なっているかのように、通りの上を無数の小旗がひらめき、町中が優しく幸せな雰囲気で満ちているかのうように見えた。これはこの旅行初めての感覚である。街角には花屋があり、家々の軒先には美しく飾られている。立ち並ぶ店の内容からして、ここはかなりの観光客を集める街なのだろうと思う。しかし、もともとしっかりしたコミュニティの基盤があった上に、観光業が栄えたのであろうか、シーズンオフのこの時期であっても、空々しさがまったく感じられない。
 


 

街の中心の広場に面した、観光客向けのカフェで休憩して街の雰囲気を楽しみながらランチを取る。人当たりのよさ満点の店のおじさんにすすめられ、昼からつい食べ過ぎる。食後、ローカルコミュニティのバスに乗り、街から3キロ、Noraの遺跡から1キロほどの地点にある、今日泊まる予定のホテルへと向かう。目の前で思いっきり1台が言ってしまい、炎天下の中、45分ほど待つ。この旅の間、どれくらいバスを待ったことだろうか。こういうことを辛く感じることも既になくなってしまった。ただ腕の日焼けが痛いだけだ。

着いたホテルの周囲は家がまばらな草地や農地のような感じで、海岸に面している訳ではないが、すぐ近くに海の存在を感じる。ここに来て初めて、僕が思ういわゆる「島」に来た雰囲気。ホテルは日本で言うペンションのようなもので、オーナーは一見すると何の変哲もない田舎のイタリア人の風情。しかしこのホテル、あらゆる空間が非常に心地よく作られている。客室は青を基調にまとめられ、椰子の木洩れ日が木枠の窓越しに差し込んでくる。ダイニング、ここは宿泊者以外も入れるローカル料理のレストランを兼ねているのだが、黄色の壁にアーチを描く梁や瀟洒な扉が柔らかな雰囲気を作る中、現代的なものからオーソドックスなものまで、一見バラバラのアートがなんとも不思議なまとまりをもって飾られている。期せずして、こういう気持ちの良い宿に出会った時の喜びは非常に大きい。
 



 

ビーチも歩いてわずかなところにあった。これまでよく一緒に島に遊んだ友人のA山くんなら、「旅行、ここだけで良かったんじゃない?」とでも言い出したかも知れない。太陽が光り輝き、空にも水にも緑にも砂浜にも美しさを与え、今日は何から何まで絶景である。
 





"Ti amo" means "I love you."
 

料理も素晴らしかった。Malloreddus(マッロレッドゥス)というニョッキのような歯ごたえのサルデーニャのパスタは、見た目は細い貝、もしくは虫のサナギのよう。これを当地のソーセージとトマトソースで和えてあるだけなのだが、信じがたい美味さ。そして魚介類のフリッター。イカ、タコ、エビに、なんと魚が4匹山盛り。もうしばらくは魚は見たくないよというその量だったが、ただの塩とレモンだけなのに、カラリと新鮮で美味であった。次にイタリアに来る機会があったら、このかなり安いホテルに数日滞在するためだけに飛行機で本土からサルデーニャまでひとっ飛び、なんてことが出来たらとても贅沢だ。
 


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(2) 
共通テーマ:旅行・地域(旧テーマ)

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。